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2006.07.09 Sun

13日目 ルアンナムター 地獄の8時間自転車


今日は良く眠れた気がする。ここのところ毎朝6時に起きている。


今日は7時から昨夜会った、アンディと一緒に自転車で市内を周ることになっていた。

アンディは、わたしより1日早く到着していたため、
ほんの少しだけ、ルアンナムターを知っていたのだ。

アンディとわたしは宿も一緒だったため、待ち合わせ場所は下のロビーだった。
ロビーで彼に会い、隣の自転車屋で、マウンテンバイクを1ドルでレンタルした。

自転車屋の兄ちゃんはまだ眠そうな目をこすって、わたしに地図をくれた。


アンディは南から北まで走ろう。と意気込んでいる。

英語で言う南に位置するストゥーパ(寺院みたいなもの)と、
北に位置するウォーターフォールを目指して
二人組み自転車隊は出発した。

自転車を走らせて10分。もう町はド田舎に変わった。
お店もなく、民家しか見えない。のどかな田園風景と、ゆっくり走るトラック。
天気は優れないが、ほんの少し生ぬるい風が気持ちが良かった。

ストゥーパまでの道で一度迷った。
目で確認できるのに、同じ場所をいったり、来たり。

途中民家に立ち寄って、場所を確認すると、みんなラオス語でよくわからない。
村の子供たちは案内代わりに途中までついてきてくれた。

するとストゥーパは遠くに見えるのに、前を走るは長い川。
これではどうにも自転車でつっこめない。
またもや戻ることに。

村の子供たちに挨拶をして、別れた。

自転車を再び走らせ、ボコボコの道を走る。
途中何度もバウンドしては、おしりを痛めた。ポップコーンになった気分だ。
アンディはニコニコしている。なんて元気な44歳。

途中、気づいた。
ここルアンナムターはどの場所よりも、挨拶をしてくれる人の数が多い。
子供も、大人もみんなサバイディー!だ。
疲れも吹っ飛ぶくらい、いい笑顔。
日本の田舎にもこの空気は流れているのだろうか。

なんにもない、この長い長い道を、ひたすら走る。
音はいらない、見るもの全部がカラフルで、一瞬ぶっ飛んだ。
たまにある、この感覚。日本でもそうだったが、ここに来てから何度か飛んだ。
想像のタイムトリップ。

どう考えても私に薬やマリファナは必要なかった。

4時間自転車を走らせて、やっと着いたストゥーパ!
大喜びで長い長い階段を登ると、なんてつまらないんだろう!
変な恐竜の像が一匹、黄金の建築物、寂れたトイレ。

だけど、そこから見た景色と、頑張った自分に感激した。
自転車に長時間乗ったのは久しぶりだったから。かなりいい汗かいた。
アンディは今もニコニコを決め込んだままだ。

同じ道を戻る。行きとはまた違ったラオスの喉かな景色。
田んぼに地元のおばちゃんたちが集まって、苗を植えている。
わたしが写真を撮っていいか?と聞くと、みんなキャーキャー言って、
恥ずかしそうに笑顔を見せてくれた。

ちょっとした深い水溜り?の中には水牛が。
みんな放し飼いでとっても自由だ。

帰り道、あたしのお尻は痛みを感じていた。
クッションのない、サドル、にこにこ顔のアンディ、前を走るトラック。
ねずみ色のラオスTシャツは汗でびっしょり、小石だらけの道は車輪の邪魔ばかりする。

この時点で往復4時間。
手には水ぶくれが出来始めていた。

だけど、追いかけるあたしに笑顔を送ってくれた子供たちから元気をもらって、
お尻の痛みもほんの少し和らいだ。

元の位置に戻り、昼食を済ませ、10分もしないうちに、
アンディは滝つぼへ行こうという。
さっきの場所とは反対側にある、滝つぼ。

滝つぼへ行く途中もまた、ボコボコの道はとまらない。
大よそ2時間くらいたっただろうか?
奥に行くに連れて、高床式住居が増えてくる。

日本では決して見れない、人間の素朴な暮らし。

梅干みたいなシワシワのおばあちゃん、キセルを片手に煙をはいている。
目の奥から人並みではない、パワーが出ている感じだった。

自転車は走る。
村の子供たちは本当に可愛い。
ボロボロの服は、気にしない。一番大切なのは、笑顔だと心から思う。

おしりの痛みはもう限界。
だけど、道端で出会う出会う野豚の大群。
村からはおいしそうな夕飯の煙がモクモクと空に向かってあがってる。

自分たちで作ったお家で、自分たちで作った野菜で作る夕飯、
お風呂もトイレも電気もない。
ここにあるのは、大好きな家族と笑顔だけ。

人間って誰かの愛情があるから、こんなに豊かな笑顔になるんだと、
この旅に来て、改めて思った。

あたしのオシリはもちろん、掌には水ぶくれ。
運動不足のあたしは足がガクガク。運転している最中なのに、何度休もうと思ったか。

スタートしてから6時間。
やっと到着。滝つぼだー!
滝つぼの手前にはランテン族の村があり、残念なことにランテン族が入場料を取っている。
観光客など、わたしたちだけで、後は誰もいない。

滝つぼは期待していたものとは正反対で、ジャングルの中の水溜りだった。
でも、滝つぼよりもランテン族に自力で会えたことが、感激した。

ランテン族は眉毛がなくって、黒い民族衣装を身にまとい、
髪型は人それぞれだが、母親と見られる女性は、前髪を渦巻き型に止め、
脇の髪は借り上げ、とっても不思議な髪型をしている。
子供たちは裸足でかけまわり、カメラを向けるととても嫌がるので、
写真には収めなかった。

きっと、観光客の記念撮影はタブーなんだろう。

日本にはない、この景色に少しばかり嫉妬した。

帰り道、またも2時間かけて帰ったが、宿についたあと、すぐさまシャワーをあびて
鏡でオシリを見ると、子供のころに見た、モウコハンが再び2つも戻ってきていた。

おしりにできた青たん2つ。
アンディの体力は無限大だ。

もうここで見るものはない、明日はタイへ向かうべく、国境のあるファイサーイへ行こう。

夜になり、アンディと夕飯を食べながら話していると、

【なぜ、君はファイサーイに行くんだ?
ここルアンナムターに来た旅行者はみな、ムアンシン(北上)にいくというのに。
僕は明日ムアンシンに行く。

君の行きたがっている、ファイサーイまでは、きっと乗車人数が少なくて、
バスは出ないよ。一緒にムアンシンに行けばいいのに。】

アンディはしつこかった、結局このセリフを5、6度繰り返し、
わたしをムアンシンまで連れ出そうとした。何度も断ったじゃないの、アンディさん。

アンディとの会話は今まですごく楽しかったし、お互いの夢の話や
旅の情報や、人間のありかたを話したけれど、今回ばかりは腹が立った。

バスは出ないかもしれないが、わたしには時間がない。
ムアンシンに行ったら、帰国日に影響が出てしまう。

アンディよ、そのニコニコ顔をやめておくれよ。
君に人の気持ちは分からないのか。あたしはムアンシンにいけないよ。

さよならアンディ、また会う日まで。

わたしは同じ宿にいたイスラエル人に、明日はどこへ向かうのか尋ねると、

【俺もファイサーイにいきたいんだけど、今日も入れると3日も待ちぼうけさ。
人数が足りなくて、バスがなかなかでないんだよ。ルアンナムターは余りにも暇すぎる】

この言葉で正直、めちゃくちゃ落ち込んだ。
だけど、明日にかけるしかない。わたしには時間がなかった。

明日の9時、イスラエル人の彼と一緒にバスターミナルまで行くことを約束し、
その日は早く眠った。

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