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2008.09.09 Tue

笑っていれば

北海道日記もチマチマ更新していますが、
どうしても書いておきたいことができたので。


昨日じいさんが来た

何ヶ月ぶりかの再開だったのだが じいさんは相変わらず私に優しい

本当は婆さんもくるはずだったのだが

ここ最近婆さんの具合がよくないらしい

数ヶ月前、我が家に訪れた婆さんはいっていた

『もう目が見えなくてね 匂いもわからないし 足も痛くて外に出るのがおっくうなんだ』

84歳 立派な年輪を築いてきた彼女は 今になって急に元気をなくしているようだ

歳をとれば次第に体もうまく動かなくなる

やっぱり健康は本当に大切なものだと思う

じいさんは言った

『うちの奥さんだからってわけじゃないけど、あの人は本当にすごいんだ
どんな人が大人数でやってきたって、何も持たせず返したことがないんだから。

わたしにとって、どうでもいいお客さんでも、あの人は何か必ず持たせるんだ。

高価なものじゃないけれど、心がこもったものだ。我が家にあるお菓子とか煮物とかね。

うちに人がいつも集まるのは、あの人のおかげなんだな。』

少しだけ目の奥に何か強いものを感じた。

じいさんはきっと分かっているんだろう ばあさんはもうそんなに長くない

昔話を織り交ぜて、顔をくしゃくしゃにして笑いながら チビチビうまそうに酒を飲む

私の絵を本当に好きでいてくれる いつでも味方でいてくれる 元気をくれる

だけど、わたしのじいさんが少しだけ昨日は元気がないように見えた

一人で帰れると言って 家を出たじいさんの後ろ姿を追いながら

わたしは一人、犬を連れて夜道を歩く 昨日はもう秋の香りがゆらゆらと通り

じいさんの背中が少しだけ小さく見えた


大切な人が 長年連れ添った家族が この世をたつことは

どれだけ深い悲しみなんだろうか わたしはまだ祖父母をなくしたことがない

24歳まで 悲しみを味わったことがない

あの物がいっぱいつまった いつでも笑いが側にある あの家に

じいさんが一人になってしまったらと考えると泣けてくる

じいさんの話を聞いて 今も彼がばあさんに恋をしていることが分かった

きっと今頃 うとうとしている婆さんの隣で 彼は昔の二人を思い出しているのだろう

おばあちゃん きっと元気になりますように。

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